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ショーケース 上野
2022.12.05 UP

【SHOWCASE UENO】#007. 茂木淳史 Mogi Atsushi《バナナ画廊(仮)アーカイブ banana gallery (tentative)archive》

ショーケース上野 SHOWCASE UENO
2022.12.5ー2023.2.3
#007. 茂木淳史 Mogi Atsushi《バナナ画廊(仮)アーカイブ banana gallery (tentative)archive》

[コンセプト Concept]

ショーケース上野の第7弾となる今回は、2022年5月末にゲリラで行われたイベントのアーカイブとその際に出品された茂木淳史による《バナナ画廊(仮)》を紹介する。

ゲリラ・イベントが開催されたのは六本木・森美術館のChim↑Pomの作品《道》上だった。二層構造にした展示室の上層部にアスファルトで舗装した大きな《道》は、Chim↑Pomの個展のために構想・制作された大規模なサイトスペシフィック・インスタレーションで、既存の仕組みやルールから独立した空間を作り出し、そこに集う人々の自由意志と自発的なアクションから生まれる、都市の新たな可能性を見いだそうとしていた。その展覧会の最終日、突如として15名の若者たちが《道》の上に自身の作品を展示し始めた。自分の身体にカラフルな紙テープを巻きつける者、大量の証明写真をアスファルトの上に並べてゆく者、テントを張ってその場を占拠する者、麻雀をはじめる者までいた。その中で、展開されていた《バナナ画廊(仮)》は、ショーケースのディレクターである小沢剛先生の《なすび画廊》をオマージュしている作品であった。

《なすび画廊》は、1993年に開催された展覧会「ザ・ギンブラート」という日本の道路上でのゲリラ型展覧会にて発表された。貸画廊であるなびす画廊の前の路上に突如オープンし、牛乳箱の内側を白く塗ることで生まれるホワイトキューブが画廊の展示空間に見立てられていた。これは、作家に有料でスペースを貸し出す貸画廊という日本独自のシステムへの疑問をユーモラスに表明している作品だと言える。

《バナナ画廊(仮)》はザ・ギンブラート展にて小沢剛氏が出品した《なすび画廊》を現在の形で再現する試みとして制作さていたことは明らかだった。美術館内の《道》路上にて、ダンボール箱のギャラリーを設置し、作品を販売する。作品が購入された際には、作品が展示された場所から作品を発送するため、展示空間そのものを作品に取り込み、場所自体を作品と共に保存することに成功したのだ。新型コロナウイルス感染症対策として普及したWEB上の展覧会、近年流行しつつあるNFTなどの、作品を情報化し実物を見ずに鑑賞することへの応答を、コロナ禍で需要が爆発した宅配サービスのシステムを掛け合わせ、作品を展示状態のままする、画廊ごと宅配できるサービスとしての要素を含んだ、まさに今を象徴する作品だった。

残念ながら私はこの現場に立ち会うことはできなかった。しかし、この機会にアーカイブとして記録し、作品と作品を、歴史(過去)と現在をつなぐため、そして現在の出来事をそのままにするのではなく、現在が過去になったときに歴史を継承するために、ゲリラで行われたイベントとそこで展示されていた作品《バナナ画廊(仮)》をアーカイブすることを目的として、第7回ショーケース上野を開催する。

P.S. イベントの様子はHPとYouTubeにて見ることができる。
https://sites.google.com/view/newchimbart/home?authuser=0
https://www.youtube.com/watch?v=kYtGjkIMIxM

鈴木萌夏(ショーケース上野担当キュレーター/東京藝術大学先端芸術表現科)

 

[作家について About the Artist]

茂木淳史 Mogi Atsushi
【略歴】
1997年 東京生まれ
2022年 3月 東京藝術大学美術学部彫刻科 卒業
2022年 現在 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻 在学中
【展示略歴】
2020年 2月 「22 19 58」Gallery Blue 3143
2020年 7月 「箱の生活+ "Life in the Boxes Plus"に参加 東静岡アート&スポーツ/ヒロバ 「コンテナ・アートスペース」内ギャラリー
2021年 3月 「フリー・(   )・フリー」 目黒区美術館区民ギャラリーB
2022年 2月 東京藝術大学 卒業・修了作品展
2022年 5月 「シン・Chim・ブラート」ゲリラ型企画展示 六本木森美術館
2022年 10月 「features」グループ展 常陸国出雲大社ギャラリー桜林
2022年 11月 「SHIBUYASTYLE vol.16」西武渋谷店
【受賞歴】
2021年 久米賞
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