【SHOWCASE】#31. 西尾 美也 Yoshinari Nishio《死ぬ前に全部の服にはさみを入れておきたい（習作） Study of I want to cut all my clothes with scissors before I die》

ショーケース SHOWCASE directed by Ozawa Tsuyoshi
2022.10.5ー 11.10

#31. 西尾 美也 Yoshinari Nishio《死ぬ前に全部の服にはさみを入れておきたい（習作） Study of I want to cut all my clothes with scissors before I die》

[コンセプト　Concept]

粋な祖母が語った言葉だ。自分の服が人の手に渡ることなんて考えられないという。世代の違いで所有に対する価値観が異なるからと受け流すこともできるが、90年ほど生きてきた人の服に対する考えだとすれば、その発想自体が「最後の表現」になるとも捉えられる。切られた服の断面を重ねて地層を作る。巨大ミルフィーユの食品サンプルのようなそれは、その人の歴史であり、祭壇である。ここでできた服の地層断面のイメージが、その後プリント柄となって服に生まれ変わり、軽やかに誰かに着られるとしたら祖母はどう思うだろうか。


[作家について　About the Artist]



美術家。1982年奈良県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現領域博士後期課程修了。博士（美術）。文化庁芸術家在外研修員（ケニア共和国ナイロビ）、奈良県立大学地域創造学部准教授などを経て、2022年10月より東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授。装いの行為とコミュニケーションの関係性に着目したプロジェクトを国内外で展開。ファッションブランド「NISHINARI YOSHIO」を手がける。

[展示風景　Installation view]