ショーケース 上野
2021.11.24 UP

【SHOWCASE UENO】#004. 井原宏蕗/Koro IHARA《Breathing in the Case》

《dyeing red#0》カイガラムシ、絹布、真鍮 2021

ショーケース上野 SHOWCASE UENO
2021.11.29ー 2022.1.27

#004. 井原宏蕗/Koro IHARA《Breathing in the Case》


[コンセプト Concept]

人々が集まり、食事をし、会話をして息をする。食堂はいつも学生の熱気が溢れ、生きる活力が生まれる。ここは生きることを体現する空間である。そんな場所に一見似つかわしくないものをあえて展示し、広い意味での生命活動について考えたい。

上段の平面作品では、蚕の糞とカイガラムシが絹布に貼り付けられ、そこに水を加えることによって色素が生成されている。蚕沙(さんしゃ)、コチニールと呼ばれる食品の着色料に使われている色だ。

中段にあるのは、使われなくなった鳥の巣を加工したものである。ツバメの巣は窯に入れて焼くことでセラミックに変化する。内側に漆が塗られ、器として用いることも可能だ。

下段の置物の表面は、実はイシクラゲという陸地に住むシアノバクテリア(光合成を行う原核生物)に覆われている。これらが活動して二酸化炭素を酸素に変えることで、環境を浄化してくれるかもしれない。

多様な生物の痕跡が残る作品たちを通して、ケースの中の呼吸を感じてほしい。

[作家について About the Artist]


井原宏蕗/Koro IHARA

1988年大阪府生まれ。2013年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。2017年ポーラ美術振興財団在外研修生としてイタリアに滞在。ミミズの糞塚や土でできたツバメの巣など、自然から生まれる有機物を「彫刻」として捉え、生態系と循環に着目した制作を行なっている。主な個展に「BankART Under 35 井原宏蕗展」(BankART KAIKO、神奈川、2021)、「made in earth」(Commons Gallery UH at Manoa、ハワイ、2020)、「worm in progress」(Kunstraum Bethanien 、ベルリン、2019)など。受賞歴はTOKYO MIDTOWN AWARD2019「グランプリ」(2019)、第20回岡本太郎現代芸術賞「岡本敏子賞」(2017)など


[展示風景 Exhibition view]



Photo by Taihei Soejima
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