• トップ
  • お知らせ
  • 【SHOWCASE UENO】#012. 豊田涼介 / Ryosuke Toyoda《うすーい虹/カチカチの手》
ショーケース 上野
2024.06.04 UP

【SHOWCASE UENO】#012. 豊田涼介 / Ryosuke Toyoda《うすーい虹/カチカチの手》

ショーケース上野 SHOWCASE UENO
2024.6.10ー7.25
#012. 豊田涼介 / Ryosuke Toyoda《うすーい虹/カチカチの手》

[コンセプト Concept]

2024/3/20/16:43
久しぶりに虹を見た。
広島県三原市の海岸沿い、鈍行列車の車窓から。
すごくうすーい虹だった。
なんかすごく良かった。
このあとちょっと日が差して、また雨が降ってきた。

決まったものしか掴めない手。
そこにはまるものをたくさん作ってやろうと思う。




虹の捉えきれないイメージの広がりと、何かを掴めそうな手の可能性。どっしりとした実在感の一方で、見る人が想像でその先を描くことのできる空白を残している。

木という素材は、作家のいう「映像的な時間」を持つ。合板を掘り進めることで、複数の時間の層が表面に現れる。合板に絵の具を重ね、削る、この作業を繰り返す。その過程で生じた木片から小さな鳥を、さらに木屑からもまたひとつ形づくる。

この方法は、作家の言葉と結びつく。「自分の外側に、過去の自分も未来の自分も、同時に存在している。」「作っていることは壊すことであり、そこにある総量は変わらない。」

しかし大きな言葉にならないように、意識的に個人的なことを潜ませる。例えば、明日食べるかもしれない春雨や、あの日の電車の窓の汚れなど、生活や記憶の断片。

取手から上野に移動することで、作品の一部が隠れてしまった。見えない部分が生まれることで、逆説的に見る人に開かれることとなった。この手は何を掴むことができるだろうか?

今ここにある作品が絶えず生み出しているもの、それは次への予感である。

(国際芸術創造研究科修士1年/杉本温子)

[作家について About the Artist]

油画第三研究室 修士二年 在籍
https://www.instagram.com/rtyosuke_toyoda
一覧にもどる