ショーケース
2025.04.30 UP
【SHOWCASE】#44. 有村聡美 / Arimura Satomi《地平線に反転世界 / A World in Reverse on the Horizon》

ショーケース SHOWCASE directed by Ozawa Tsuyoshi
2025.4.30ー2025.6.5
#44. 有村聡美 / Arimura Satomii《地平線に反転世界 / A World in Reverse on the Horizon》
[コンセプト Concept]
冷え切った空気を肺いっぱいに吸い込むと、
身体の奥がチリチリとする感覚に自分が呼吸をしていることを覚える。
吐いた息が白いのは、私たちが温度を保っている証だ。
3月に北海道で流氷を見た。
真っ白な地平線に太陽の光が反射して、目が洗われるようだった。
手前にはいくつも割れ目があり、それが雪で閉ざされた海であることを思い起こさせる。
「風景を飲み込みたい」
広大な自然を眺めるとき、私はそんな欲求を抱く。
視界いっぱいに広がる風景が目や口を通して体の中に入ってくることを想像してみる。
自分の外側にある世界と、内側にある世界の繋がりについて考えてみる。
毎日、いくつかの薬を飲む。
小さな錠剤は飲み込む瞬間だけとても大きなものに感じる。
それは喉という器官を介した、物と私の、一つの関わり方だ。
この白い足は私自身の片足を型取りしたものである。
体の一番外側にある皮膚を内側にひっくり返したこれは、皮膚が内側に反転した像になる。
絶えず壊れてきた、そしてこれからも壊れ続けるこの身体を支える足が、実はとても脆いものであることを知っている。
天と地の両方で足並みを合わせて、これからも歩けたらいい。
[プロフィール profile]
有村聡美 ありむら・さとみ
2024年 成安造形大学 美術領域洋画コース卒業
現在、東京藝術大学 美術研究科 先端芸術表現専攻 在籍中
2025.4.30ー2025.6.5
#44. 有村聡美 / Arimura Satomii《地平線に反転世界 / A World in Reverse on the Horizon》
[コンセプト Concept]
冷え切った空気を肺いっぱいに吸い込むと、
身体の奥がチリチリとする感覚に自分が呼吸をしていることを覚える。
吐いた息が白いのは、私たちが温度を保っている証だ。
3月に北海道で流氷を見た。
真っ白な地平線に太陽の光が反射して、目が洗われるようだった。
手前にはいくつも割れ目があり、それが雪で閉ざされた海であることを思い起こさせる。
「風景を飲み込みたい」
広大な自然を眺めるとき、私はそんな欲求を抱く。
視界いっぱいに広がる風景が目や口を通して体の中に入ってくることを想像してみる。
自分の外側にある世界と、内側にある世界の繋がりについて考えてみる。
毎日、いくつかの薬を飲む。
小さな錠剤は飲み込む瞬間だけとても大きなものに感じる。
それは喉という器官を介した、物と私の、一つの関わり方だ。
この白い足は私自身の片足を型取りしたものである。
体の一番外側にある皮膚を内側にひっくり返したこれは、皮膚が内側に反転した像になる。
絶えず壊れてきた、そしてこれからも壊れ続けるこの身体を支える足が、実はとても脆いものであることを知っている。
天と地の両方で足並みを合わせて、これからも歩けたらいい。
[プロフィール profile]
有村聡美 ありむら・さとみ
2024年 成安造形大学 美術領域洋画コース卒業
現在、東京藝術大学 美術研究科 先端芸術表現専攻 在籍中
