ショーケース 上野
2024.10.24 UP
【SHOWCASE UENO】#013. 丸の内Drippin’ Tripper(ドリッピン・トリッパー)」サテライト企画:久保ガエタン 武田萌花
ショーケース上野 SHOWCASE UENO
2024.10.18ー12.03
#013. 丸の内Drippin’ Tripper(ドリッピン・トリッパー)」サテライト企画:久保ガエタン 武田萌花
[コンセプト Concept]
本展示は、東京藝術大学キュレーション教育研究センター「展覧会設計演習」の一環として有楽町で開催される「丸の内Drippin’ Tripper(ドリッピン・トリッパー)」(2024.10.19-26)のサテライト企画です。
「丸の内Drippin’ Tripper」は、アーティストの久保ガエタンと武田萌花による「抽出」と「移動」をテーマに大丸有エリアの隠れた歴史と見逃しがちな風景を掘り起こすような展覧会です。
大丸有(大手町・丸の内・有楽町)は、かつて諸藩の大名屋敷が立ち並ぶ地域でした。明治期には赤レンガや石造りの建物が誕生し、現在では国内外の企業が集まるビジネス拠点となっています。有楽町の展示では、このエリアの昔の記憶や現在の姿を手がかりに、2人のアーティストが現実とフィクションを織り交ぜながら、新作を制作し、時と場所を超えた白昼夢のような世界を創り出しました。
久保ガエタン / Gaëtan Kubo《間違茶》ルビ:テー フェルケールド
大丸有は、17世紀初頭にオランダ人航海士ヤン・ヨーステンとキリシタン大名織田長益(有楽斎)の屋敷が建てられていた記録から、[八重洲][有楽町]1と呼ばれている。傍近に屋敷を構えたとされる二人には交流があったのだろうか。茶人でもあった有楽斎による茶会に招かれていたか、はたまた現代にタイムトラベルでもすれば、代わりにカフェにでもよるのだろうか。そんな想像を起点に制作が始まった。
茶にまつわる時系列を軸としたトランスナショナルなリサーチをもとに、久保ガエタンは間違茶を完成させた。制作にあたり、コーヒーノキとチャノキを接ぎ木して育て、茶葉を採取した。2採取した茶葉から点てた抹茶とエスプレッソをブレンドしたのが間違茶である。Slit Park YURAKUCHOでは、休息のために偶然に訪れた誰かと鑑賞者とが、抽出された景色の中で飲み物を手に共に時間を喫することで、丸の内という「暮らし」が消滅した地で活動する自身の足元に立ち返る、一期一会の鑑賞体験を引き起す。ショーケース上野では、学生や教員、大学への来訪者で賑わう食堂の一角に、使い捨ての紙コップ、かつて展覧会場近くに住んでいたとされる二人の宛名が入った領収書、絵葉書といったエフェメラルな事物が、茶室の床の間のように見立てられ展示される。
1 1600年にオランダ商船リーフデ号で漂流したオランダ人航海士のヤン・ヨーステンの和名「耶楊子(やようす)」が転じて[八重洲(やえす)]となったという説、茶を嗜む数奇者が集まる数奇屋橋が有楽斎と結びついた説などがあるが、その屋敷があった歴史的真意は定かではない。
2 その他を含めたブレンド。
武田萌花 / Moka Takeda《Timescape-Window》
大手町、丸の内、有楽町という3つの地域は合わせて「大丸有」と呼ばれ、約35万人が働く労働者の街である。武田萌花は大丸有での街歩きを通して、そこで働く人々と風景の関係に着目した。通勤路やオフィスから見える風景は、労働と同じように単なるルーティンの一部かもしれない。しかし、風景は刻々と移り変わっている。何気なく通り過ぎる道にも実は多層的な記憶や歴史が染み付いているのだ。
YAU CENTERでは、《Day Dream: Métro-Boulot-dodo》と、《Timescape-Window》の2作品からなる白昼夢のような映像インスタレーションを立ち上がらせ、私たちにルーティンから逸脱するきっかけを与える。ショーケース上野には、《Timescape-Window》が形を変えて展示される。トレーシングペーパーに古地図と現在の大丸有の航空写真をデジタル上で重ねて印刷し、背後から光で照らすことで、地図があらわす風景と人々が認識する風景の間の隔たりが浮かび上がる。
[作家について About the Artists]
久保ガエタン (Gaëtan Kubo)
1988年生まれ。アーティスト。展覧会が開催される土地で綿密なリサーチを行い、さまざまな虚実を大胆かつ飛躍的に結びつけながら、独自の装置などを交えたインスタレーションや映像で表現することを得意とする。
2013年東京藝術大学大学院美術研究科修了。公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員としてフランスにて研修。京都市芸術文化特別奨励者。糺の森会員。
https://gaetankubo.com/
武田萌花 (Moka Takeda)
1997年生まれ。アーティスト。「車窓風景」や「工事現場」など都市の日常的な風景から着想を得て、情報やイメージで氾濫した現代におけるリアリティとは何かを問うインスタレーション作品を発表する。
2024年東京藝術大学大学院美術研究科修了。主な展覧会に、2024年『ヨーゼフ・ボイス ダイアローグ展』(GYRE gallery)、2023年 『エマージェンシーズ!045』(NTTインターコミュニケーション・センター)など。2024年「藝大アートプラザ・アートアワード2024」デジタルアート部門「JR東日本賞」受賞。2021年「群馬青年ビエンナーレ2021」入選。
https://www.mokatakeda.com/
[展覧会概要]
展覧会名
丸の内Drippin’ Tripper (ドリッピン・トリッパー)
会期
2024年10月19日(土)- 26日(土)13:00-19:00(会期中無休)入場無料
開催場所
YAU CENTER、Slit Park YURAKUCHO
主催
東京藝術大学キュレーション教育研究センター、有楽町藝大キャンパス(東京藝術大学、東京都、YAU)
特別協力
Slit Park YURAKUCHO、東邦レオ株式会社
協力
株式会社中川ケミカル、画翠 GASUI
【FIX】丸の内DrippinTripper_PR
◼️展覧会設計演習とは?
東京藝術大学キュレーション教育研究センターが藝大生・社会人受講生を対象に、2023 年度より開講し、2024年度からは東京藝術大学・東京都・YAUの三者連携プログラム「有楽町藝大キャンパス」の一環として展開している社会共創科目(公開授業)です。受講生は現代美術の展覧会の企画から制作、運営までのプロセスを有楽町で実践的に学びます。
[展示風景 Installation view]
2024.10.18ー12.03
#013. 丸の内Drippin’ Tripper(ドリッピン・トリッパー)」サテライト企画:久保ガエタン 武田萌花
[コンセプト Concept]
本展示は、東京藝術大学キュレーション教育研究センター「展覧会設計演習」の一環として有楽町で開催される「丸の内Drippin’ Tripper(ドリッピン・トリッパー)」(2024.10.19-26)のサテライト企画です。
「丸の内Drippin’ Tripper」は、アーティストの久保ガエタンと武田萌花による「抽出」と「移動」をテーマに大丸有エリアの隠れた歴史と見逃しがちな風景を掘り起こすような展覧会です。
大丸有(大手町・丸の内・有楽町)は、かつて諸藩の大名屋敷が立ち並ぶ地域でした。明治期には赤レンガや石造りの建物が誕生し、現在では国内外の企業が集まるビジネス拠点となっています。有楽町の展示では、このエリアの昔の記憶や現在の姿を手がかりに、2人のアーティストが現実とフィクションを織り交ぜながら、新作を制作し、時と場所を超えた白昼夢のような世界を創り出しました。
久保ガエタン / Gaëtan Kubo《間違茶》ルビ:テー フェルケールド
大丸有は、17世紀初頭にオランダ人航海士ヤン・ヨーステンとキリシタン大名織田長益(有楽斎)の屋敷が建てられていた記録から、[八重洲][有楽町]1と呼ばれている。傍近に屋敷を構えたとされる二人には交流があったのだろうか。茶人でもあった有楽斎による茶会に招かれていたか、はたまた現代にタイムトラベルでもすれば、代わりにカフェにでもよるのだろうか。そんな想像を起点に制作が始まった。
茶にまつわる時系列を軸としたトランスナショナルなリサーチをもとに、久保ガエタンは間違茶を完成させた。制作にあたり、コーヒーノキとチャノキを接ぎ木して育て、茶葉を採取した。2採取した茶葉から点てた抹茶とエスプレッソをブレンドしたのが間違茶である。Slit Park YURAKUCHOでは、休息のために偶然に訪れた誰かと鑑賞者とが、抽出された景色の中で飲み物を手に共に時間を喫することで、丸の内という「暮らし」が消滅した地で活動する自身の足元に立ち返る、一期一会の鑑賞体験を引き起す。ショーケース上野では、学生や教員、大学への来訪者で賑わう食堂の一角に、使い捨ての紙コップ、かつて展覧会場近くに住んでいたとされる二人の宛名が入った領収書、絵葉書といったエフェメラルな事物が、茶室の床の間のように見立てられ展示される。
1 1600年にオランダ商船リーフデ号で漂流したオランダ人航海士のヤン・ヨーステンの和名「耶楊子(やようす)」が転じて[八重洲(やえす)]となったという説、茶を嗜む数奇者が集まる数奇屋橋が有楽斎と結びついた説などがあるが、その屋敷があった歴史的真意は定かではない。
2 その他を含めたブレンド。
武田萌花 / Moka Takeda《Timescape-Window》
大手町、丸の内、有楽町という3つの地域は合わせて「大丸有」と呼ばれ、約35万人が働く労働者の街である。武田萌花は大丸有での街歩きを通して、そこで働く人々と風景の関係に着目した。通勤路やオフィスから見える風景は、労働と同じように単なるルーティンの一部かもしれない。しかし、風景は刻々と移り変わっている。何気なく通り過ぎる道にも実は多層的な記憶や歴史が染み付いているのだ。
YAU CENTERでは、《Day Dream: Métro-Boulot-dodo》と、《Timescape-Window》の2作品からなる白昼夢のような映像インスタレーションを立ち上がらせ、私たちにルーティンから逸脱するきっかけを与える。ショーケース上野には、《Timescape-Window》が形を変えて展示される。トレーシングペーパーに古地図と現在の大丸有の航空写真をデジタル上で重ねて印刷し、背後から光で照らすことで、地図があらわす風景と人々が認識する風景の間の隔たりが浮かび上がる。
[作家について About the Artists]
久保ガエタン (Gaëtan Kubo)
1988年生まれ。アーティスト。展覧会が開催される土地で綿密なリサーチを行い、さまざまな虚実を大胆かつ飛躍的に結びつけながら、独自の装置などを交えたインスタレーションや映像で表現することを得意とする。
2013年東京藝術大学大学院美術研究科修了。公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員としてフランスにて研修。京都市芸術文化特別奨励者。糺の森会員。
https://gaetankubo.com/
武田萌花 (Moka Takeda)
1997年生まれ。アーティスト。「車窓風景」や「工事現場」など都市の日常的な風景から着想を得て、情報やイメージで氾濫した現代におけるリアリティとは何かを問うインスタレーション作品を発表する。
2024年東京藝術大学大学院美術研究科修了。主な展覧会に、2024年『ヨーゼフ・ボイス ダイアローグ展』(GYRE gallery)、2023年 『エマージェンシーズ!045』(NTTインターコミュニケーション・センター)など。2024年「藝大アートプラザ・アートアワード2024」デジタルアート部門「JR東日本賞」受賞。2021年「群馬青年ビエンナーレ2021」入選。
https://www.mokatakeda.com/
[展覧会概要]
展覧会名
丸の内Drippin’ Tripper (ドリッピン・トリッパー)
会期
2024年10月19日(土)- 26日(土)13:00-19:00(会期中無休)入場無料
開催場所
YAU CENTER、Slit Park YURAKUCHO
主催
東京藝術大学キュレーション教育研究センター、有楽町藝大キャンパス(東京藝術大学、東京都、YAU)
特別協力
Slit Park YURAKUCHO、東邦レオ株式会社
協力
株式会社中川ケミカル、画翠 GASUI
【FIX】丸の内DrippinTripper_PR
◼️展覧会設計演習とは?
東京藝術大学キュレーション教育研究センターが藝大生・社会人受講生を対象に、2023 年度より開講し、2024年度からは東京藝術大学・東京都・YAUの三者連携プログラム「有楽町藝大キャンパス」の一環として展開している社会共創科目(公開授業)です。受講生は現代美術の展覧会の企画から制作、運営までのプロセスを有楽町で実践的に学びます。
[展示風景 Installation view]