スクリーン
2021.12.11 UP

【SHOWCASE in the Screen】#13. 菊地晴 Sei Kikuchi《24 Minute Bugs》

SHOWCASE in the Screen
2021.12.13ー2022.1.26
#13. 菊地晴 Sei Kikuchi《24 Minute Bugs》

[コンセプト Concept]

渋谷のハロウィーンに初めて機動隊が投入されたのは、2014年のことだった。その後、ハロウィーンは年々苛烈さを増したが、2019年には行政も巨額の予算を組み、厳しい対策に乗りだす。本作では、2014~2021年の8年間に報道された、ハロウィーンに関するニュース映像をサンプリングしている。短いニュースの集積を緩慢に引き伸ばしていく手法は、Douglas Gordon《24 Hour Psycho》へのオマージュである。

10月最後の週末、夜の渋谷は狂騒の街になる。その様子を、私はいつも画面の向こうから眺めていた。渋谷から電車で1時間かかる街で思春期をくすぶらせていた私にとって、渋谷は「行けるけど行かない場所」だった。それなのに、ニュース番組で流れる年上の若者たちの狂乱は、私を釘付けにしていた。軽蔑をよそおいながら、本当は毎年気になって仕方がなかった。異国の祭りの名を借りなければ騒げない三人称複数の彼ら。液晶モニターに映る、煌々とした群像。醜悪で猥雑でだった。でも、嘘みたいに元気だった。嘘だった。
高校を卒業して根無し草みたいになった頃、私はようやく1人で渋谷をふらつく勇気を手にした。雑踏に吸い寄せられるように、渋谷を歩いた。それなのに、その後訪れた未曾有のパンデミックによって、雑踏は渋谷から消え去る。この街に、いやこの世界に、巨大なバグが起きている。そうでなければ、この理不尽を説明できなかった。
しかし雑踏が消えてもなお、渋谷は情報過多で不潔な街のままだった。吸い込んだらむせてしまうような空気が、心地よいのだと気がついた。そうなのだ。COVID-19は確かに大きかったけれども、それよりずっと前から、ずっと小さい無数のバグが、ここをつくってきた。

bug:小さな虫、ばい菌、ウイルス、熱中、熱狂家、欠陥、故障

[作家について About the Artist]

2001年 茨城県取手市生まれ
2020年 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科入学
2021年 同大学学部2年在籍

[展示風景 Exhibition view]



 

 
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